【BANTで成約率アップ】BANTで優先順位付けをして効率的な受注を目指そう!

営業のコツ
スポンサーリンク

最近では営業現場でもBANTという言葉をよく聞くようになりましたね。もともとはマーケティング用語とされていましたが、今では会社向けの営業をしている人にとって必要不可欠で、とても重要な言葉です。

この記事はこんな人におすすめ

T営業部長
  • BANTの使い方を理解して成約率を上げたい
  • 言葉は聞いたことがあるけどよく知らない
  • 受注が増えるように戦略的な方法が知りたい

この記事では、BANTの意味やメリットを説明し、成約率をアップさせる方法を解説していきますよ。

BANTって何?

BANTというのは、マーケティングなどでよく用いられるフレームワークの用語ですね。

四つのワードの頭文字からなっています。下記のとおりです。

BANTの意味

Budget(バジェット)=予算・予算枠
 商品・サービスを導入するための予算が確保されてるか、もしくは確保可能か、いくらあるか
Authority(オーソリティ)=決裁権限者・権力者
 承認権限がある人はだれか、承認権限ある決裁権限者にアプローチできているか
Needs(ニーズ)=必要性・期待値
 会社としての必要性があるか、困りごとがあって必要に迫られてるか、理想像がある
Timeframe(タイムフレーム)=導入時期・時限
 商品・サービスを導入する日にちはやデッドラインは決まっているか

この四つのワードの頭文字をとってBANTと呼んでいます。

営業が提案活動をするうえでは、案件の確度(受注の確からしさ)を認識しながら活動をする必要がありますが、その確度を図るために有効なのがこのBANTです。

具体的な使い方に関しては後述しますが、B・A・N・Tそれぞれの観点でヒアリングやリサーチをして情報固めをしていくことで、「成約率がどれくらいか」を把握することができるようになります。

BANTのメリットは?

営業は案件を複数抱えながら活動をすることが多いと思います。

しかしながらどの案件もステータス(状況)はまちまちですから、短期間で容易に成約できそうな案件もあれば、時間が掛かり且つ複雑な案件もあるでしょう。

そんな状況でも決められた時間の中で一定以上の成果を上げなければいけないのが営業ですから、効率化が重要なキーになってきます。

その効率化という観点でBANTは大きく寄与します。

もう一つは精度の向上です。精度が上がれば成約率もアップします。

案件の確度が明確になる

B・A・N・Tのそれぞれの項目は、営業が案件を追ううえで重要な項目であり、提案先のお客様にとっても決裁をする際に欠かせない項目です。

つまり、全ての項目が確実に出揃っていれば、お客様も決断を下す意思が高いと判断することができます。

一方で、あいまいな項目があれば本気度が低いと見なすことが出来るでしょう。

優先順位が明確になる

案件の確度が明確になれば、自分の限られた時間を効率的に使うためにも優先順位をつける必要があります。

すぐには決まらない案件を今日も明日も追いかけていては非効率ですから、できれば短期間で負荷なく成約できる案件がどれなのか、またはお客様の時限が迫っている案件はどれなのかを洗い出し、その案件に対して優先的に対応していく必要があります。

優先順位をつける理由のもう一つは、効率と似たり寄ったりですが、機会損失をしないということです。

本来であればすぐ決まるであろう案件が、他の案件対応に忙殺されたが故に、失注してしまったり他社に負けてしまったりすることを防がないといけません。

頭の中ではわかっていても、あらためてBANTを書き出してみて目で見て冷静に優先順位付けをすることで、新たな気づきが生まれますし、日々、迷いなく行動に移すことができます。

成約に向けて足りない情報が明確になる

BANTに沿ってヒアリングや情報集めをし、優先順位付けをする中では、やはり不足している項目が出てくることがあるでしょう。

B・A・N・Tを一つ一つしっかりと管理することで、足りていない情報が明確になり、明確になれば次に取るべき行動が自然と見えてきます。

B・A・N・Tそれぞれのポイント

BANTは会社向けの営業をしている人にとっては必要不可欠な情報で、この四つの項目が揃っていない場合、大抵の案件は成約に至りません。

どれか一つが欠けているということは、お客様の中でも決め手になっていない可能性があったり、営業が情報を押さえていないだけであれば他社が優位に案件を進めている可能性もあります。

それぞれの項目を理解して、ヒアリングや情報集めのクオリティを高めていきましょう。

読み解く観点としては、前述のメリットで説明したとおり、営業の目線で効率化と成約率アップを意識してもらえると理解が深まると思います。

Budget(バジェット)=予算・予算枠

お客様の予算の状態を見極めるために必要な項目です。

お客様によって予算の確保の仕方(スキーム)はそれぞれ違う可能性があります。必要性に応じて予算を捻出する場合や、年間の予算額を前年度に決めてしまう場合もあります。

明確に予算が取れているのか、それとも大体のイメージとして予算を考えている段階なのか、参考情報として予算規模を知りたいだけなのかを確認しましょう。

そのうえでいくら予算が取れているのかの確認が必要になります。

Bが充足できていないケースの例

例)お客様の決裁権限者との直接の商談が実現し、提案内容を伝えたところイメージしていた実現案と大きなズレが無いことを確認できた。しかしながら、今期の予算は確保できていないことが判明し、現時点では、来期予算を確保するために情報集めをしている状態だということが分かった。

この例は、BANTのAである決裁権限者に会うことができ、提案に対しては良い評価を受けて、採用まであと少しという状態に感じられます。しかしながらお客様側でお金の工面がついていなければいくら良い案でも直ぐに成約とはなりません。

こういった状況であれば、今期中に受注する可能性は極めてゼロに近いということになりますから、活動としては、来期に受注するための案件として、今期中は少し優先順位を落として管理する方が効率的と考えられます。

Bを知るための質問

  • いくらくらいの予算をお考えですか?
  • 予算はどのように確定されますか?
  • 予算はすでに確保済みですか?
  • 今期予算ですか?
  • 予算を使うための期限はありますか?
  • 予算の上限はありますか?
  • 予算規模によって権限者が変わりますか?

大事なことは、具体的な予算の額や消化時期、承認済みの予算であるかどうかを確認することです。

Authority(オーソリティ)=決裁権限者・権力者

誰が最終決裁者なのか、誰の意見で決まるのか、承認フローはどうなっているか。このあたりを確認するために必要な項目です。

会社によって決裁の階層が異なりますので、段階的に承認を経て決定されるのか、誰かの鶴の一声で決定されるのかそのあたりの見極めが大事になってきます。

承認のフローがあり複数名の承認者が居たとしても、実質それは形式的なもので、誰か一人の権力者の意見が尊重されて決まるような、営業からは見えにくい状況も踏まえなければいけません。

Aが充足できていないケースの例

例)お客様の部署での問題は明確になっており、解消するために今期中に必要な予算が確保されていることが確認できたため、現場責任者に対して積極的なアプローチをしたところ、高い評価をいただき今にでも採用したいとおっしゃっていただいた。ところが契約に向けた具体的な話に及んだところでその方には決裁権限が無いことが判明し、それまで面識の無かった現場責任者の上司にあたる方からは、採用しないといわれてしまった。

いきなりお客様のすべての陣容を押さえるのは難しいのが現実です。ですが、常にいろいろな角度から状況を見ながら、目の前に怒っていることがすべてだと思わずに進めていくことが、上記の例のように足元をすくわれないためには大事になってきます。

会社の中には、声の大きい人の意見が採用されるシーンがよくあります。社歴の長い人であったり、頑固な人であったり、反論すると面倒な人だったり、論理的でもっともじゃ意見を言う人であったり、様々なタイプの意見が尊重されやすいタイプの人がいますが、必ずしも決裁権限を持っているかどうかはわかりません。

もちろん決裁権限者にとっての貴重なご意見番的な存在であることもあるでしょう。前述のとおり、それぞれの立ち位置や役割分担、そしてお客様の会社内で決められた権限範囲を押さえておくことが最も大事です。

Aを知るための質問

  • 本案件はどなたが最終決裁をされるのですか?
  • 〇〇さんが最終決裁者で間違いないですか?
  • 最終決裁までに別の方の意見が尊重され方針が変わることはありますか?
  • 御社ではどういったルートで決裁を取られるのですか?
  • 御社では決裁金額に応じて決裁権限者が変わるのですか?
  • 〇〇さん(最終決裁者)へはどのような形で報告されるのですか?
  • 〇〇さん(最終決裁者)へはいつ報告されるのですか?
  • どういった会議体が予定されていますか?
  • 決裁フローで承認される方(部署)はどういった方(部署)がいますか?
  • 〇〇さん(最終決裁者)がOKと言えばほぼ決まりと考えて大丈夫ですか?

お客様担当者が自社の決裁スキームを理解していない場合もありますので、クローズドクエッションで聞くだけだと齟齬が生まれる可能性もありますから、必ずいろんな観点からヒアリングをして、確信を持てるようにしましょう。

オープンクエッション・クローズドクエッションに関しては、こちらの記事でも説明していますので参考にしてください。

【クレーム対応マニュアル】現役営業部長が解説する営業のピンチをチャンスに変える方法
クレーム対応に追われて大変な人はいませんか? 営業をしていれば、クレームを受けることも多いですよね! この記事はこんな人におすすめ T営業部長 クレームばかりで前向きな仕事が出来ない  クレ...

Needs(ニーズ)=必要性・期待値

ニーズは責任が伴う企業の購買行動の中では、非常に大事な項目です。

ニーズはお客様の問題意識から生まれます。あるべき姿に対して現状がそれに満たないギャップがある状態を問題と言いますが、そのギャップを埋めたい、改善したいという考えがニーズになります。

Nが充足できていないケースの例

例)年度内の予算化や決裁者について確認が取れ提案を進めていたが、本来の要件とは違った要件が出てきたため再検討を行った。再度検討が煮詰まった後に最終確認を取ろうとお客様に確認したところ、そもそも問題点が曖昧なためニーズの度合いも低いことがわかった。

お客様の中で漠然とした困りごとがある場合は、具体的な検討に入る前に予備検討をしたり、コンサルテーションをして潜在的な問題を洗い出す作業をします。

一見、遠回りのようですが、結果的には勘違いや認識ギャップを回避できるため生産性が高いです。

Nを知るための質問

  • 今どの部分でお困りですか?
  • 今一番の課題はなんですか?
  • この困りごとは本来どうあってほしいのですか?
  • 会社として取り組んでいるテーマをお聞かせください。
  • 結果が良ければやり方は問いませんか?
  • 過去に取り組んだ改善策はありますか?
  • いつ頃からの課題ですか?
  • この課題で一番困っている方とお話しさせて頂けますか?

効率化や優先順位という観点で案件管理する場合は、より顕在化されている事象のほうが、優先的に対応しやすいでしょう。顕在化していない事象については、顕在化させるためのプロセスが必要です。

顕在化していないニーズであっても、掘り下げていくと規模の大きな案件に発展したり、お客様にとって利益が発現しやすい施策が示せれば、一挙にスピード感が早まる可能性もあります。よって見極めが大事です。

Timeframe(タイムフレーム)=導入時期・時限

タイムフレームは、特に経験の浅い営業が案件管理をする上で一番曖昧にしがちなものです。会社や営業自身は年度単位で成果を区切られますから、しっかりと時間の要素を意識しましょう。

Tが充足できていないケースの例

例)部下である営業担当が新規案件のネタを見つけてきたということで営業ミーティングで報告を受けた。決済権限者に対して概算金額の提示も済んでいるが好感触であり確度が高いとの案件だった。受注時期を問うたところ明確な答えが無かったので再確認させたところ、お客様からは再来年度の新中期経営計画の中で実行したいと確認できた。

お客様からは良い反応を得られると浮かれてしまう気もわからないではないですが、やはりこちらも時間の概念があっての営業活動です。

息の長い案件も将来の見込みとしてストックしておくのは良いですが、直近の活動の優先順位としては少し下げざるを得ません。

Tを知るための質問

  • いつごろに使えるようになっていたいですか?
  • 何を持って時限は決められるのですか?
  • 目標となる期限はありますか?
  • 明確な月や日にちは決まっていますか?
  • その時限を過ぎるとどうなるのですか?
  • 年内ですか?年度内ですか?
  • 年度内にサービスがスタート出来れば良いですか?
  • 年度内に支払いですか?
  • 今月末までに納品させて頂いて構いませんか?

時期や時限についてお客様にヒアリングをする場合は、スタート時期だけでなく終わりの時期であったり、終わりの時期から逆算した日付であったり、契約の時期なのか、検収の時期なのか、支払いの時期なのか、具体的なワードで確認し合いましょう。

まとめ

BANTについて営業現場の様子と照らし合わせて理解することが出来ましたでしょうか?

冒頭のとおり、営業は限られた時間の中で成果を上げることが求められている以上、効率的にやらないといけません。効率化がうまくいった先には成約率のアップがあるでしょう。

そのキーとなるのかBANTによる案件状況の見極めです。

ぜひ今一度自分の抱えている案件をBANTに照らし合わせて優先順位付けをし、成約率をアップさせてください。

Photo by fauxels from Pexels