【5W2Hを商談で使う】営業が5W2Hを用いた効果的なヒアリングで契約を取る方法

5W2H 営業のコツ
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5W1Hという言葉はよく聞きますね。

私が一番最初に聞いたのは中学一年生の時の英語の授業ですかね。

そこにビジネスの要素として大事なHow much?が加わって2Hになっています。

その5W2Hですが、普段の生活はもちろん、ビジネスの場面でも多々出てきます。

特に意識をしていない人も多いかも知れませんが、私たちは日々の生活でも自然と5W2Hをを踏まえた会話をすることで意思伝達をしているのですが、ビジネスの場においては意識的に5W2Hを用いることで、人は状況把握をしたり共通認識を持ったり、進む方向を決めたり、といったように判断を繰り返しています。

営業にとってこの5W2Hを理解しているかいないかで成績が大きく変わってきますので、この記事では営業現場でどう活かしていけば良いのか、特にお客様に刺さる提案をしていくための方法を説明していきます。

5W2Hを使いこなして、営業成績アップを目指しましょう。

この記事はこんな人におすすめ

T営業部長
T営業部長
  • 見込み案件増やしたい!という人  
  • お客様との話が続かないという人  
  • ヒアリング力の向上を図りたい人 

ヒアリングの目的を理解

会社が、必要なものを何かを買おうと検討しているとき、思い付きで買うことはありません。

「ヨッシャー!今値引きしてるから買っちゃえ。いつか使う時が来るはず」というノリで買うことはまずないでしょう。

ではどういう風にして買うのが一般的でしょうか。

少し具体的な話をすると、基本的には稟議書というものを書きます。(書く、と言っても最近は紙じゃなくてワークフローシステムだったりします)

それを見た会社(管理職や経営者)が、その購買行為は正しい判断で、会社にとって必要なものであるかどうかを認めたときに、「買う」という承認がされ、買うことになります。

私たち営業の立場で考えてみましょう。

売りたい先の会社に何かを提案したとします。

その会社は上記のとおり、買う必要があるものかどうかを判断する、という行為を行っているでしょう。

では具体的に、「その購買行為は正しい判断なのか」「会社にとって必要なものか」というのは、何に照らし合わせて考えているのでしょうか。

その答えが5W2Hです。

ということが分かれば、営業が提案し、商談を適切に進めていくためには5W2Hに照らし合わせてヒアリングしていくことが、お客様の意思決定に向けての一番の近道だということが理解できると思います。

お客様の会社の中で、何が稟議承認される基準なのか、それを5W2H毎に情報を整理します。

仮に提案するにあたって、自社内で調整や交渉が必要であれば、それに見合った提案をできるようにするのが営業の頑張りどころです。

「稟議で承認される5W2Hは何か?をヒアリング」⇒「承認基準に合った5W2Hをインプット」の繰り返し

ヒアリングは5W2Hに沿って

まずは5W2Hのそれぞれが何を意味するものなのか確認です。

5H2H意味
Whenいつ、いつからいつまで
Whereどこで
Who誰が
What何を、何に
Whyなぜ、どうして
Howどうやって
How much     いくら、いくらくらい    

前述のとおり、お客様が何かを買ったり、大きな投資やそれに伴う契約をする際には、ほぼ例外なく社内で稟議決裁を行っていると思います。

お客様の内部の稟議決裁事情をよく理解することができればそれに勝るものはありませんが、仲の良い担当者がいない場合は、クリアに情報として理解するのは難しいことがありますので、その場合は、まずは自社内の稟議手順を理解すると良いと思います。

皆さんが所属するほとんどの会社には稟議決裁のプロセスや基準があるはずです。

では実際に、自社内で稟議決裁を回付したことがある人はイメージしてみてください。

稟議書が紙の場合もあると思いますが、最近はワークフローシステムで行うことが多いかも知れません。

大抵の稟議書はフォーマットがあって、項目が決められていますが、5W2Hを求められることが多いはずです。

ほとんどの会社では同じ観点で意思決定を進めていますから、自社の稟議手順をお客様に置き換えて情報整理をすれば良いでしょう。

更に、大抵の場合は、5W2Hの順番を意識して意思決定しています。その順番は下記のとおりです。

5W2Hの順番
  • Why

    なぜやるのか?何のためにやるのか?どういった目的の実現のためにやるのか?

  • 2
    How

    どうやってやるのか?実現までの方法論は?

  • 3
    How much

    予算はいくらくらい必要か?(=人は何人必要か?)儲けは?

  • 4
    Who

    誰がやるか?やれる人はいるか?どこの会社に頼むか?どの製品を使うか?

  • 5
    What

    具体的にやることは?タスクは?To doは?できるようになることは?

  • 6
    When

    いつやるか?いつからいつまで掛かるのか?スケジュールは?

  • 7
    Where

    どこでやるのか?

上記は重要度の順番、優先順位だと言っても良いでしょう。

お客様の社内で稟議書を書く際に、この順番を意識して情報集めをし、提案書に的確に盛り込んで情報提供することで、よりお客様が実現に向けたイメージを付けやすく、商談成立に近づけることができます。

このあと、5W2Hに沿ってもう少し細分化していきます。

「なるほど、こういう観点でヒアリングしたりインプットすれば良いんだ!」という気付きにしていただければと思います。

ヒアリング項目を洗い出そう

Why

Whyは目的、動機といった言葉に置き換えるとわかりやすいかも知れません。

販売したい先のお客様のニーズが何か?例えば今困っていることがあれば、どうしたいのか?それがWhy=目的であり、営業の立場からすれば提案の背骨部分になります。

前述のとおり、Whyの項目は企業が物事を判断する際に、最も優先される項目になります。

お客様が稟議書に書くWhy=目的に対する答えは何か?目的や同期の部分を掘り下げて聞いていくことが提案においての重要なポイントです。

例えばWhyのヒアリングはこんな感じです。

  • なぜ買う必要があるのか?
  • なぜ実施する必要があるのか?
  • 問題があるとするとなぜ解消したいのか?
  • 何を実現したいのか?
  • 困りごとは何か?

潜在ニーズ、顕在ニーズなんて言葉もありますが、問題が明らかになっていない場合も、お客様との議論を深めていき、Whyを探り当てる必要があります。

また、Whyを繰り返していくことも真の問題・課題にたどり着くコツだと思いますので、表層にある目的で安心することなく、一つの答えに対してWhy?その答えに対してもWhy?と何度も掘っていきましょう。

それぞれのWhyがヒアリングできたとします。下記の(例)はあくまでも例で漠然としていますが、それぞれのWhyがわかることで、どういった提案がストライクゾーンに入る提案なのかがわかると思います。

(例)
効率化して経費削減したい
生産量を上げたい
利益を最大化したい
売上を拡大したい
社員の残業抑制を図りたい

例えば上記の「効率化して経費を削減すること」がWhyの答え=目的だとすると、今非効率な個所を明らかにして、それを解消する提案をすれば良いということになります。

例えば、事務員さんが毎日資料作成のために複合機から出力した資料をホッチキス止めをしていたとします。

そのために残業時間が増えたり追加の事務員さんを雇っている。それによって「想定以上の経費がかさんでしまっているので削減の策を検討したい」と思っていれば、お客様にとってはそれがWhyです。

繰り返しになりますが、営業目線ではこのWhyが提案の骨子を作るうえで重要になりますので、鮮明になるまで掘り下げていきましょう。

How

Howについては、Why(目的)に対してどのような方法論で解決するのか?というものになります。

Howはお客様の目線では、現状のWhy(目的)を達成するための方法論はどんなものがあるか?といった観点で情報集めをすることになると思います。

皆さんがテレビを買うときは、いくつかのメーカーや機種を比較したり、今世の中にはどんな機能のテレビがあるのかなと情報集めをするのと同じと考えれば良いでしょう。

  • 実現する方法はあるか?
  • どうやって実現するか?
  • 実現の実績はあるか?
  • どうやって改善するか?
  • 取り得ない方法(制約)はあるか?

Howが営業目線としては、提案のコンテンツであり、売りたいもののそのものになると思います。

具体的な例題として、前述の事務員さんのケースを用いると、高速で尚且つ製本機能の付いた複合機を買うとか、プリント会社等に外注に出すとか、紙での出力をやめて電子化してしまうとか。そういったことが、Howの答えとなる現状の課題を解決する策として提案できそうな案となるのではないでしょうか。

例えば、上記の例では3つの案を挙げました。

  1. 製本機能付き高速複合機導入
  2. 製本会社への外部発注
  3. 紙をやめて電子化

仮に私が複合機を販売する営業であれば、1.の製本機能付き高速複合機導入を推奨し、現状や2.3.よりも1.の方がより目的を達成できる方法論があることを示すことが、求められたHow?に対する答えになります。

How much

次にいくらかかるのか?ということになります。

別の記事でROIについても説明していますが、企業は回収目途が立っているかどうかが投資の基準のひとつになります。

となると前項のHowで示した方法論を用いてWhy(目的)を達成させるためには、いくら費用が発生しますよ、ということを示すのがHow muchです。

ただ、このHow muchに関しては、多くの商談においてお客様の予算の上限が前提となることが大半です。(いくらでもお金を払いますよ、というパターンは少ない)

よって営業目線では、「いくらかかりますよ」の前に「いくら払えるのか?」を中心にヒアリングをしていく必要があります。

  • 初期投資で支払えるか?
  • 5年総計でいくら支払えるか?
  • 付帯費用(人とか設備とか光熱費等)は発生はいくら見込めるか?
  • (物品であれば)償却期間や次回購入時期の目途に対する要望、期待値は?

Howで示した方法論の提案に対して、実現するためにはいくらの投資が必要か、ランニング費用として5年でいくら掛かるのか、といった金額をお客様自身が把握したうえで検討を進めていくため、一方通行に金額を提示することなく、値ごろ感に関する期待値をキャッチするようにしましょう。

また上記のとおりROIが一つの指標になりますので、投資によって得られる効果が示せることが、提案として大きな効果になりますので意識してください。

上記事務員さんの例で言えば、仮に複合機を導入するとしたら1台につきいくら掛かるのかな、毎月の支払いも発生するのかな?ということ。外注に出すのであれば、例えば100部製本を依頼するといくらで、月に何回発注するかがわかれば月当たりの金額を出すことができます。

同時に、ROIの観点では、事務員さんの残業日数や、追加の事務員さんの稼働費用が削減できれば、企業としては効果が得られます。支払うお金と削減できるお金を天秤にかけ、どちらの方がよりメリットがあるかを比較検討することになるでしょう。

Who

誰がに関してはいろんな観点でヒアリングしましょう。

稟議書に書くWhoの項目については、誰がその問題を解消する主体者か?ということになります。

簡単に言えば、私たち(私たちの会社名)を書いてもらうことがベストです。

稟議書に名前を書く意味は、例えば課題があるとすると、その課題解消ができる人はだれか?の答えです。

仮に競合他社が複数社あれば、その中から、選ばれる必要がありますが、Whyを知って、HowやHow muchをお客様の期待に見合った提案をすることが、実現の正攻法であり近道です。

Whoに関してはもう一つ押さえておく観点があり、それはお客様側の関係者です。

稟議決裁に係わる人(承認者、決裁者)が誰なのか?実際に実現に係わる関係者は誰か?私たちの味方になってくれる人(ファン)は誰か?

それがわかることで営業としてコンタクトすべき先が明確になり、アクションも取りやすくなります。

  • 主担当者はだれ?
  • その上司はだれ?
  • 担当以外にキーパーソンは?
  • 最終決裁者はだれ?
  • 関係者、関係部署は?
  • 決裁ルートの登場人物は?
  • 相談できそうな人は?
  • 敵は?見方は?

What

目的がわかり、それに対する方法論や、お金がいくら掛かるのか、ROIが出るのかが示せ、それを実現できるのが当社ですよ、と納得感ある情報が示せるようになった次に必要なのがWhatです。

ここでのWhatは、具体的なTo doを示す必要があります。

お客様担当者は、実現に向けてより具体的にどういったタスクをこなすことで完了するかの計画を会社に対して説明する必要があります。

例えば、

導入前  導入時  導入後

といったフェーズで区切って、それぞれに対してどういった人の、どういったTo doが必要なのかを明示するということです。

会社としては、付帯費用、付帯作業に関わることなので、すなわちお金の掛かることですので、綿密に計画を立てる必要がありますし、ことによってはノックアウトファクター(不可能要因)となり得る懸念材料が出てくる可能性もありますので、正確かつ網羅的にすり合わせをしていく必要があります。

営業としては、お客様の状況や環境に合わせてより実態に合った形で完了に向けたプロセスを示すことが意識としては大事な部分になってきます。

お客様の社内には、承認ワークフローに関与する人が複数いることがあります。提案しているものがお客様内の複数部署に影響のあるものであれば、理解度の高い人低い人などがいることを想定し、誰が人が見ても理解できる言葉・内容で説明したり、説明資料を作ることが肝心です。

When

期日や期限、スケジュールに関するヒアリング項目になります。

Whyで分かった目的や課題に対して、いつまでに実現したいか。もしくはしなければいけないか。

一般的には、法改正などによって強制的に期限が決められてしまうケースもありますし、出来るだけ早く対応をして効果(利益)を出したいというケースもあります。

同時に営業として、今期中に受注したいとか売上を立てたいといった目論見もあるでしょう。

基本的にはお客様の要望や計画が優先されるものですが、交渉にとっては営業にとって良いシナリオで商談が進む可能性もあります。

ヒアリング項目はこんな感じです。

  • 対応期限は?
  • 完了(完成)の期限は?
  • 予算消化の期限は?
  • 今期予算で対応?それとも来期?
  • 製品やサービスの保守期限(サポート期限)は?
  • 期限延長・保留の可能性の有無は?
  • 検討のスケジュールは?
  • 稟議のスケジュールは?(役職者向け説明や経営会議の日時や順番まで押さえる)
  • リードタイム(工期、開発期間)は?
  • 納品スケジュールは?
  • 工事・開発・導入等の詳細スケジュールは?

上記のとおり、早く効果を出したいというお客様からは、出来る限り最短の納期で、といった要望が必ずと言って良いほど出てきます。

他社競合をしている場合は、このリードタイム(納品までの期間)で優劣がつく場合もありますので、Whenは重要な項目だということを理解しておきましょう。

別の観点では、納期が早いことはお客様の満足度を高める大きな要素になります。

いずれにして、Whenが勝敗を分けますので、じっくりとヒアリングして、最大限期待に見合った提案をできるよう準備(社内調整、交渉)をしましょう。

Where

Whereに関しては、お客様が稟議書に書く場合の前提事項となる可能性があります。

例えば拠点が複数あるお客様であれば、どこの拠点で実行するのかを決めることになりますが、それに対して提案会社といて、近くに拠点があるのか、サポートする際の対応スピードがどれくらいなのか、といった観点が必要になります。

制約事項としては、例えば、複合機の場合、修理の依頼をして実際に対応するのが翌日になります、といった時点で受け入れられない可能性もあります。

Whereに関しても入念にヒアリングしましょう。

  • 本社?拠点?
  • 国内?海外?
  • どこのビル?フロアは?
  • どこのセンター?
  • クラウド?
  • サポート拠点の制約は?
  • オンライン対応でOK?

仮にWhereの期待に応えられない場合は、他社とのアライアンスによって制約を解消するパターンも考えられます。

上司と相談して効果的な対応を打ちましょう。

その他の大事なヒアリングの観点

基本的なヒアリングが出来たあとは、精度を高めたり、決め手となる情報を整理したり、他社より優位な点を明示したり、決定打を繰り出すためのヒアリングをします。

  • 要件整理…複雑な状況であれば、要望や課題を洗い出す時間を設けて整理しましょう。
  • MUST/WANT優先順位付け…お金ありきなのでフルスペックで契約するとは限りません。
  • 競合他社のノックアウト要因整理…他社には対応できないところで勝負するために。
  • 稟議資料を入手…稟議資料にある程度の答えが掛かれています。

全ての5W2Hの情報がヒアリング出来れば、あとは実現できることを提案していくという流れになります。

まとめ

5W2Hはビジネスにおいて頻繁に用いられるフレームワークです。

部署問わず、報告様式として5W2Hが用いられますし、日常の上司に対する報連相の中でも5W2Hを踏まえた説明を求められます。

求められないにしても、的確に事実を伝える方法として5W2Hは非常に効果が高いものとして知られています。

よって今回は商談(提案)の場面において5W2Hが有効であることを説明してきましたが、お客様自身も同様に5W2Hに沿って検討をしていることを理解することで、求められていることに的確に答えられることが理解できたと思います。

提案書を作る際にはぜひ、5W2Hの要素をかき出して整理をしてみてください。

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