商談には流れが大事です。商談を流れのあるストーリー立てて進めるためには、自分主導ではなくあくまでもヒアリングをして相手の想いを聞くところからスタートします。
この記事はこんな人におすすめ
- トークは得意なんだけどヒアリングが苦手な人
- 商談は良いところまで行くけど中々決まらない人
- 良い流れを作るヒアリングをしたい人
この記事は、商談に必要なストーリー作りのためのヒアリング方法を説明していきます。よい商談を作るためにヒアリングの流れを覚えましょう。
営業ヒアリングの流れとポイント
適切なヒアリングのために商談の流れを理解する
商談は営業とお客様のファーストコンタクトから始まり、様々なプロセスを経て、上手くいくと契約の局面にたどり着くことができます。
営業誰もが目指すのがゴールである「契約」ですが、今自分の目の前にある商談はどう言った状態(ステータス)なのか、次にどういったフェーズに進むのか、次のフェーズに進むためにはどうすべきなのか。
こういったことが考えられる状態でなければいけません。
商談の流れについては下記の記事で説明していますので、一度目を通しておさらいしてから続きを読み進めてください。
1.商談の前から答えは出ている。大事なのは「事前準備」
ヒアリングの一番の目的は、相手(お客様)のことを知るということです。
またそのお客様は真に欲しいものしか買いません。真に欲しいものは何かを知るためにはヒアリングしか方法が無いと思ってよいでしょう。
そのヒアリングの質を高める最適な方法が「事前準備」です。
情報を入手するための方法は無数にあるでしょう。インターネット上の情報や業界動向調査、他社事例・海外事例の調査、他営業との勉強会等々。
これらによって効果的な事前準備ができ、これから会うお客様に対してたくさんの仮説を用意して面談に臨む必要があります。
目の前にいるお客様は、他のお客様と似ている部分はあっても同じということはありません。またお客様は自分専用に用意されたものに興味を惹かれます。
ですから、事前に用意できた情報をもとに、目の前にいるお客様に向けた固有のヒアリングをしていきましょう。
ヒアリングに関してはこちら記事も参考にしてください。
2.場を温めるアイスブレイク
プライベートでのトークでも近況報告やくだらない雑談から入るのが一般的ですよね。
これはお客様との商談の場でも同じで、仕事だから雑談はNGとは捉えず、まずはその場を温めるアイスブレイクに重きを置くところから始めましょう。
アイスブレイクの効果や方法については、こちらの記事でも説明していますので参考にしてください。
3.時系列で整理しながら
物事の整理をしていくための観点は様々ありますが、誰にとっても共通する観点は時系列です。時間軸の古いことから新しいことに向けて話題を進めていくことで、状況を正しく順番に理解することができますし、判断が上書きされているのであれば、何が検討の軸となったのか、その判断軸に対して理解を深めることができます。
営業の習性から、「今」の状況について深堀りしていきたい気持ちはよくわかりますが、まずは、なぜその「今」があるのか、その経緯を良く理解することからはじめていくことが近道だと考えます。
4.前回の話題を振り返る
お客様との面談が何回にも渡って行われ、ヒアリングが繰り返される商談の場合は、必ず前回の話題を振り返りましょう。
前回のサマリを事前に整理しておき、持ち帰りの宿題があるのであれば回答を用意して臨むか、回答に向けた進捗状況を伝えることで安心感を与える必要があります。
「前回の打ち合わせでは、〇〇について協議させていただき□□についてのお話を伺うことができました。そして次回は△△について議論しようということで終わり今回を迎えております。今回開催するにあたり持ち帰り事項がありましたので、まずはその回答から進めさせていただきます。・・・・」
といった形で前回の打ち合わせの流れを汲んだ形で今回の面談をスタートさせることができれば、参加者のベクトルが同じ方向に向き、効果的な面談ができるでしょう。
5.テストクロージングを効果的に使う
クロージングには段階があります。
これまでの良い流れを汲んで、クロージングもうまく成功させたいところです。
クロージングにおける段階とは、大きく分けて2つ。テストクロージングとクロージングです。
クロージングは商談最後の大詰めで「これが弊社の最終提示の見積(提案)です。これでご契約をください。」ということです。相手のYesをもらうための最後の攻防といったところでしょうか。
しかし、伸(の)るか反るかわからない状態でクロージングをするのは営業としては得策とは言えません。正しい手段としては、お客様の選択肢を極限まで減らし、Noと言わせないために外堀を埋めう作業を入念に行い、Yesの確信が持てる状態でをクロージングすることです。前述のとおり、ここでも事前準備が大事です。
このようにクロージングの成功率を高めるために行うのが、テストクロージングです。
テストクロージングというのは、簡単に言えば事前の探りです。
「これこれこういった条件であれば契約できそうですか?」「仮に〇〇円の値引きができたら決裁がおりそうですか?」「ご指定の価格が提示出来たら契約をいただけますか?」
といった具合に、最終の提示前にお客様の腹の内を探る作業がテストクロージングで、クロージングの確率を高めてくれる作業になります。
ポイントは、お客様と営業双方の落としどころをしっかりと共有することです。
仮にテストクロージングでお客様とのギャップがあることが判明すれば、すぐさま軌道修正を掛ける必要がありますし、それが結果的にはクロージングの成功率を高めることにつながります。
営業ヒアリング成功のコツ3つ
商談の正しい流れを説明してきました。流れを押さえたところで、ここからは営業ヒアリングを成功させるためのコツを3つ説明していきます。
ヒアリングフレームワークを使う
商談でヒアリングの際に使えるフレームワークがあります。フレームワークを駆使してヒアリングの質を高めていくのは効果的です。
①SPIN
SPINはある4つの質問の頭文字をとったもので、それぞれは下記の通りです。
- 状況質問(Situation Questions)
- 問題質問(Problem Questions)
- 示唆質問(Implication Questions)
- 解決質問(Need-payoff Questions)
それぞれ文字通りの理解ですが少し補足していきます。
状況質問は、相手の今の状況を確認する質問になります。営業の立場からは、お客様の状況はどういった状況なのか、第三者目線をもって事実を押さえていくことが状況質問のポイントです。
問題質問は、相手の抱えている問題や困りごとについて確認していく質問です。可能な限り掘り下げて真の問題を掴む質問ができると良いです。
示唆質問は、相手に気付かせる質問になります。お客様の中に存在している問題に関して営業側から示唆をしてお客様の気付きに導く流れが作られるのが理想です。
解決質問は、存在している問題に対して、方法論と解決後の姿を示すための質問が解決質問になります。お客様が解決後のイメージを持ち、期待を抱いてくれることがゴールです。
②BANT情報
BANTは、企業向けに営業としている場合、必ず押さえておかなければいけない項目です。
Budget(バジェット)=予算・予算枠
商品・サービスを導入するための予算が確保されてるか、もしくは確保可能か、いくらあるか
Authority(オーソリティ)=決裁権限者・権力者
承認権限がある人はだれか、承認権限ある決裁権限者にアプローチできているか
Needs(ニーズ)=必要性・期待値
会社としての必要性があるか、困りごとがあって必要に迫られてるか、理想像がある
Timeframe(タイムフレーム)=導入時期・時限
商品・サービスを導入する日にちはやデッドラインは決まっているか
この4つの単語の頭文字でBANTです。
BANTに関してはこちらで詳しく解説していますので参考にしてください。
傾聴の姿勢で
営業は商談の場で我慢ができずに自らトークしてしまうことが多いですが、商談成功のカギは傾聴の姿勢にあります。
まくし立てて論破すれば売れていた時代もありますが、今は買う側にも情報が充実しており、また賢くもなっています。
そして、トークからは相手の情報は得られませんので、結果的に営業が売るためのヒントも得られません。
こちらの都合ではなく、相手に対する最大限の配慮をもって気持ちの良いヒアリングができるように心がけましょう。
下記の記事はクレーム対応に関する内容ですが、傾聴に関するヒントが書かれていますので参考にしてください。
具体例を示す
ヒアリングはお客様目線で行う必要がありますが、双方のイメージが伝わりにくい場合には、別のものに置き換えた参考例を示すのが効果的です。更にはより具体的な例を用いて示すことが効果を高めます。
他社での成功事例や過去の実績、同業他社での事例など、相手の状況と似通っていてイメージしやすい事例などを持ち出して説明をすれば、具体例を頭に浮かべながら会話が進みとても効果的です。
前述の示唆質問もこういった方法を用いることで、ヒアリングの質が向上し、表面的な答えでなく、問題の本質に迫ることができたり、お客様自身が気づけなかった課題に気づくことができる可能性が高まります。
営業ヒアリング上達のシナリオ
前述のとおりヒアリングには準備が一番大事です。
具体的にはどのような準備をすれば良いのかをここでは整理していきます。
想定問答集を用意する
決裁プロセスにおいて必要となる情報項目は、大抵の会社において同じです。
前述のBANTを最低限の質問内容にしつつ、それぞれの項目を更に深掘りしていきましょう。
そして大事なのが、予め想定問答集、Q&Aリストを作成しておくことです。手元に空欄の一覧を用意しておき、お客様のヒアリング時にはそれをもとにヒアリングを深めていきます。
質問の流れは、必ずしも一覧の順番通りにはならないと思いますが、最終的には空欄を埋めるためのヒアリングをしていくのが良いでしょう。
具体的なヒアリングの内容は下記の記事を参考にしてください。5W2Hに沿って聞いていくことが良いと考えています。
トライ&エラーで上達
商談の場は経験を積めば積むほど慣れていくと考えてよいでしょう。それは同時に、教科書をいくら読んでもたどり着けない、現場じゃないと身に着かないものとも言えると思います。
事前に、社内でロールプレイングで準備をしたうえで、実際には現場でお客様との会話でトライ&エラーを繰り返して軌道修正をしながら自分なりの正解を見つけていくしかないでしょう。
事前の準備段階では想定していなかった反応が得られたり、準備していたヒアリング項目がうまくはまらなかったり、といった感じで、微調整をしながらヒアリングテクニックのブラッシュアップをしていけば上達できるでしょう。
まとめ
商談成功の秘訣はヒアリングにあり。ということでお客様とのコミュニケーションはヒアリングに重きを置くのが正解です。
更には、ヒアリングにストーリー性を持たせて、うまい流れでヒアリングできることが、ヒアリングの質を向上させてくれます。
日ごろからヒアリングの意識をもって商談に向き合い、商談を成功させましょう。