営業の経験が浅い人や、営業に関わる人の中には、営業って何してるの?もう少し詳しく仕事内容を知りたい、なんて思っている人がいると思います。
今回の記事は、現役営業部長がこれまでの経験をもとに、基本となる営業の仕事内容を11個に絞って解説していきます。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 営業を始めたけど仕事内容が右も左もわからない
- これから営業を始めたいけど不安
- もう一度、営業の仕事を1から理解したい
- 営業に興味がある
この記事を読めば、営業って何するの?というモヤモヤが解消され、スッキリと一連の仕事内容が理解できます。
そしてこの記事では、営業と営業に関わる人の相互理解が深まり、より上手く営業活動ができるように、という思いを込めました。
11個それぞれの具体的な内容は、各記事のリンク先でさらに詳しく説明していますのでご覧ください。
本題に入る前に大前提。
アポイント
アポイントはアポイントメントの略で、面談や会合のための約束のこと指します。
更に略してアポと言うことが多いですね。
こんな使い方をします。
さて、アポイントは目次の先頭に書いてあるとおり、営業活動の入り口にあたる重要度の高い行為になります。
例えば、営業が商品やサービスを販売したい、そのために誰かに紹介したいとなれば、話を聞いてほしい人に紹介の時間をもらえるよう約束を取り付けるのが目的になります。
具体的に何をするかと言えば、電話やメールを用いて対象の相手(お客様、買い手等)に対して、目的を伝え、面談の約束を取り付けます。
簡単に会ってくれる相手もいれば、中々時間を作ってくれない相手もいます。もっと言えば目的によっては電話の折り返しやメールの返信をくれないこともあります。
売りたいターゲット先に挙げていても、中々アポが入らないなんてこともあるでしょうが、そこ打開するのが営業の腕の見せ所とも言えるかも知れません。
昔ながらの、アポイントメント無しの飛び込み営業も一定の効果があると思いますが、自社の価値を明確にし、ターゲットに対して効果的に営業を掛けることが主流になっていますから、アポイントメントという行為の重要性も高まっていると考えられます。
テレアポだけを生業にする企業が評価されているのも、アポイントメントの重要性が各企業の共通認識だからでしょう。
初回訪問
晴れてアポイントメントが取れたら初回訪問です。
初回訪問の多くは、お互いの顔合わせが目的ということになりますね。
営業としては今後の商談継続の命運を左右する緊張の場面になります。
初回訪問で主にやりたいこと。
そして、そのうえで一番の大事なこと、本当の目的は下記のとおりです。
シンプルに考えれば、営業する側は気に入ってもらうための場であり、営業される側にとっては自分たちに期待以上のものを与えてくれる相手かを品定めする場です。
相手に期待以上と感じてもらえるものは何か、それを明らかにするために事前準備を万全にして臨むということが初回訪問においては重要であることがわかります。
それが実現できれば次回の再訪問がグッと近づいてきますよね。
再訪問
初回訪問で一定の成果を残せた場合は、再訪問する機会が得られます。
次回へのこんな感じで初回訪問が終われば、再訪問への期待も高まりますね。
初回訪問が良い形で終われば、再訪問のアポイントメントは取れたも同然、日時の調整や当日のアジェンダの共有等を済ませて訪問します。
再訪問は、初回訪問時よりも具体的に掘り下げた内容を説明する場になりますね。初回訪問に営業1人で訪問したのであれば、再訪問時は社内のより詳しい専門家や有識者、技術者等に帯同してもらう必要もあるかも知れません。
ヒアリングの中から持ち帰ったキーポイントを踏まえ、前回の流れ(ストーリー)を途切れさせることなく話を進める必要があります。再訪問は何度かすることもあり、その中でヒアリングを重ねることで、双方の理解も深まり、提案に繋つながるという流れです。
再訪問は何度か繰り返すと書きましたが、前回訪問の韻を踏むと言いますか、前回こうでしたよね?ですからこういう話をしますよ、というリマインドは、効率的かつ効果的に話を進めるためにも毎回の訪問で行うようにしましょう。
前回訪問を踏まえた進め方
もう少し詳しく話を聞かせていただけますか?
次回担当の者も同席させるのでもう少し具体的な説明をお願いします。
資料があればいただけますか?
前回〇〇の話をさせていただきました。
今回は、もう少し具体的に話をお聞きになりたいとのことでしたので、〇〇に詳しい弊社の担当者を連れてまいりました。
資料に沿いこの部分の説明をして参りたいと思いますが宜しいですね?
こんな流れで進められれば、相手の方からも「ちゃんとリクエストに応えてくれたな」「打って響く営業だな」と感じてくれ、さらに次につながるでしょう。
提案依頼受領
再訪問とヒアリングで、信頼が高まれば具体的な提案に進むことになります。相手から提案をしてほしいと依頼を受けることで、正式に提案の機会を頂けることになるわけです。
販売する商品やサービスにも寄りますが、相手企業からリクエスト示されたり、システム構築の事案であれば、RFIやRFPといった、かなり具体的な依頼書をもってその後の提案の依頼を受けることもあります。
提案依頼を受けたら、これまでのヒアリング内容をさらに細かく認識違いが無いよう詰めていく作業を行います。これによって後に行う提案書作成において、相手企業の求める内容とのギャップを埋めることになります。
提案書作成・提示
提案依頼を受ければ、相手の要求を満たすために社内検討が始まります。
複数の人が関わる案件であれば、それを推進するための体制(チーム)を組む必要も出てきますね。その案件専門の体制が組まれたら関係者間でミーティングを重ね、役割分担を検討し、提案書を練り上げていきます。
提案書の書き方はインターネット上を探せばたくさんためになるものが出来てきますが、提案に際して、共通して大事なポイントは一つと言って良いでしょう。
それは、
抽象的な表現で難しいかも知れませんが、要求に対して過剰であれば価格面での議論に発展する可能性がありますし、要求に満たない提案であれば、ふるいにかけられて終了となります。もう一段突き詰めると、要求にフィットしていることを前提にどこまで質を高められるかが案件の成否を決める分岐点になるでしょう。
見積作成・提示
タイミングなどはケースバイケースですが、提案書を提出したあとや、提案書と同時に見積書を出します。
つまり、提案書で「やりますよ」と宣言したものに対して、「おいくら万円かかります」と伝える文書になります。権限次第ではありますが、大抵は会社のしかるべき決裁者から見積提示に対する承認をもらってから提示できることになります。
見積漏れが発生するとトラブルの元になりますし、ミスが無いよう慎重さが大事な局面ですね。また、お客様の心理としては、一度提示された金額を上げられることに良い印象は持ちませんので、ある程度の余剰を加味して高めに出しておくこともポイントになります。(かといって高すぎると撥ねられて終了してしまいますので、事前のヒアリングなどで落としどころを探っておくことが大事です。)
商談
一連の活動の、どの部分を商談と呼ぶのかといった明確な定義はありません。アポイントメントを入れ、初回訪問をした時点で商談スタートと言えるでしょう。
特に、商談でイメージしやすいのは、価格交渉を受けたり、追加サービスを要求されたり、お互いの駆け引きをする場面でしょうか。
事前にヒアリングして整理した決裁者情報などをもとに、キーパーソンに対して響く最終提示をしてきます。
クロージング
一連の流れの中でもクライマックスと言え、一番シビれる最終局面ではないでしょうか。
最終条件を提示して相手に決めてもらう場面です。
クロージングの結果、成約を得られるためには、
です。
判断基準は多岐にわたりますが、初回訪問からクロージングの直前までに収集した情報から決め手になるポイントを洗い出し、最終決裁者の承認する条件を探り当てます。
一般的には価格や品質、競合状態であれば、競合他社対比でより良い条件であるか等が判断基準になりますが、営業の熱心さやこれまでに築いた信頼関係が決定打になることも多々あります。
ただ傾向としては大企業やまっとうな企業になればなるほどシビアで、最終的にはROIが出るかの基準で考えていることが圧倒的に多いです。
契約(受注)
選ばれた者だけが得られる契約(受注)です。私の少ない経験でも、2年間におよぶ提案の後、やっとのことで契約にこぎ着けた案件もあります。
提案内容や見積もりの内容に認識齟齬が無いか、細かな条件もすり合わせて、契約書に書き起こします。既にひな形があったり、契約の種類によっては規制の契約書を使うケースもありますね。社内に法務部門や財務部門があれば事前にすり合わせることも必要になってきます。
相互に契約書を取り交わすことで契約締結となり、契約内容の効力が発生します。
事務処理
無事に契約書を持ち帰ってきたあとに待っている次の大事な仕事は事務処理です。
受注処理をして納品して売上処理をして請求をして回収するまでの手続きを指しています。
営業のミッションとして売る(契約を取る、受注する)ことにありますが、何のために売るかと言えばキャッシュを得るためですよね。
そのため契約したあと入金確認をするまでが営業の責任範囲と言えるのではないでしょうか。
実際の事務処理自体は、営業事務担当者や財務担当者が担ってくれるケースが多いかと思いますが一連の流れを理解しておきましょう。
種まき
一つの案件が具体化し契約までたどり着き、無事に商品を納め、入金まで完了すれ一通りの営業としての仕事内容が把握できたことになるのでは無いでしょうか。
そのあとにすることは、次なる案件の種まきです。実際には、いくつもの案件を並行して進捗させることが営業としては求められることが多いですよね。扱う案件の規模にもよりますが、多くの営業は年間での目安が決められていて、その目安に到達するためにはいくつかの案件を同時に進めて、年度末に達成するという流れが多いと思います。
ですので、枯渇させないためにも、様々な状況の案件をいくつも持てるよう日常的に種まきの活動に勤しみましょう。