営業は体育会系の勢いがあれば上手く行く!?
こう思われていた時代もありましたし、実際に買い手の購買意欲が高く、パターンもシンプルだった時代は単に行動量が多ければ、それが売上高に直結していたという事実もあったでしょう。
ですが今、多くの消費者には必要なものが行き届き、今無いから欲しいという人は少なくなりました。
こんな状況下で、売り手の営業はどうやってモノを売っていくのが正解なのでしょうか。
この記事はこんな人におすすめ
- 上司はノリで売ってた人らしいが、今はそんなんじゃ売れないよと思っている人
- 世の中の売り方のトレンドは?を知りたい人
- 体育会系のノリじゃない人
この記事では、今営業はどうやって売っていくべきなのか、営業プロセスの中で大事な「準備」について説明していきます。
消費者の動向
簡単に考察していきます。誰もがわかっていることです!
高度成長期以降、20年ほど前までは、車にしろ、白物家電にしろ、多くの家庭には無いものが多く、同時に景気も良かったために、消費者の購買意欲は非常に高かった時代がありました。
つまり手元に無いから欲しい⇒買う、というシンプルな行為が行われていました。
営業が売りに行かなくても買い手が寄ってきてくれる時代です。バブルですね。
割と近年で言えば、パソコンなどが家庭に急速に広がったのがわかりやすい例かも知れません。
毎週末、家電量販店では売り込まずともバンバンパソコンが売れていた時代ですね。
B to Cだけではなく、B to Bでも同様の現象がありました。
今そういった生活の必需品は、多くの家庭でほとんど揃っている状態になりました。無理して買い替える人も少なくなりました。
理由はこれだけではありませんが、白物家電の大手メーカーが大苦戦し経営難に陥っているのが実態です。
今売れない状況についても、B to Cだけではなく、B to Bでも同様です。
営業には準備が必要
営業にとって待っていれば売れた時代は良い時代でした。活動量を増やせば比例して業績も上がっていく、そんな時代もありました。(私はバブル崩壊後の人間なので苦労しました!)
でも今は営業が能動的に売りに行かないと、とてもじゃないけど売れません。引き合いなんてめったに無い、という営業の人がほとんどだと思います。
更に言えば、買うつもりのない人に対して「〇〇いらんかね~」と単純に商品を売り込んでも「欲しい!欲しい!」とはなりません。
ではどうすれば売れるのでしょうか。
買う人には理由があります。衝動買いはレアなケースと思って良いでしょう。企業が多額の投資をする際に衝動買いする可能性は「0」です。
理由が無いと買わないお客様に対して、買う理由をあらかじめ用意することが営業にとって必要な「準備」になります。
更には、その準備の内容は万人に共通するものではなくて、目の前にいるお客様固有の準備であることが望ましいです。
では具体的に、やるべき準備について順に説明していきます。
お客様の基礎知識
会社の基礎情報や業界の基礎知識をインプットしておくべき、ということは別の記事でもお伝えしました。
これは初回訪問や再訪問に限らず、営業がお客様にアクセスする場合には必ず必要なことですので怠らずに調べて、頭の中にインプットしておきましょう。
ゴール=今回の訪問の目的
毎回の訪問にゴール設定することが大事です。
準備として大事なこととしては、長い商談の中で今回の訪問をどう位置付けるかを明確にしておくことです。
あくまでその先のシナリオがあるべきですが、「何かをインプットする場なのか」「インプットするための情報をヒアリングする場なのか」「メリットを訴求する場なのか」等々です。
訪問のその時になってあたふたすることが無いように、あらかじめ目的を明確にしていきましょう。
インパクトの準備
お客様は、私たちと同じような営業に毎日何人も会っている可能性があります。同業他社で同じようなものを売りに来た営業が居れば、もしかするとどっちがどっちなのか覚えてもらえないケースもあるでしょう。
会えたその一瞬を大事な時間にするためにも、インパクトある行動は大事になってきます。
トークでも資料でも、冗長度の高い説明をダラダラとしていては他社営業との差別化はできませんので、ズバリ相手の求めていることに刺さるものをプレゼンできるのが良いでしょう。
前述のとおり「○○いらんかねー」ではなく、「ずばりあなたはここにお困りですね」とか「こういう姿になりたいと思ってますよね」とか「かゆいところはここですよね」とそのお客様固有のピンポイントを攻めることができると良いでしょう。
仮説シナリオの数が勝負どころ
いずれにしても事前の情報収集によって、営業は初めてアウトプットすることが大事ですので、ヒアリング(傾聴)が大事なことは改めて認識しておいてください。
そのうえで、大事なのは仮説を立てることです。
こんな観点で深堀してみてください。
- お客様の困りごとは何なのか?
- お客様の会社の中で困っている人は誰なのか?
- 他社の好事例は?
- 困っていることが解決できるとどういう良いことがあるのか?
- デメリットは?
- 当社の商品・サービスの効果を最大化するためのアイディアは?
- 今まで誰も思いついていない使い方はないか?
- 何かと掛け合わせることでもっと良い解決策ができないか?
- 他社との協業でより良いものにならないか?
- 一旦、規則やルールを除外したら良いアイディアにならないか?
自分の中であらかじめ大きく風呂敷を広げてみていくつもの成功シナリオを書き出してみましょう。
スクリプトを作成
自然体でトークができる人以外は、スクリプトを複数パターンを作って丸暗記しておくことをおすすめします。
ここでいうスクリプトを言い換えると「想定問答集」ともいえるかも知れません。
この話をしたらきっとお客様にはこんな観点のこんな質問を受けるだろうな、その場合はこういう回答をしてあげれば気が利いてるな。とか、このデータの粒度だと突っ込まれた際に納得感が与えられないからもう少し具体的なデータを用意しておいてその場で理解を深めてもらった方が良いなとか、前項のシナリオと同様に、「何を言うか」をあらかじめ固めておきましょう。
一方ですべてが丸暗記頼みだと、想定外の話の流れになった際にフリーズしてしまう(私も経験あり)ことにつながりますので、柱となる部分をある程度想定し、その柱に関するスクリプトを固めておくのが良いです。
まとめ
昔は、営業は訪問してナンボだと言わました。一方でこの記事で説明したとおり準備が必須だという意見が最近は大半です。
これまた矛盾しているかも知れませんが、資料は7割程度の準備で良いというソフトバンクの孫さんなんかもいます。
軸になる考えは、一つ一つの商談はナマモノであり求められているのは準備「作業」ではありません。本質的には個別の事情を踏まえた商談にすべきだということはどれも変わらないのだと思います。
いずれにしても丸腰でお客様に対面することは、長い目でみて営業の確立を大きく下げることにつながりますし、ともすれば信頼を削ぐことにもつながりますので、十分な(作業時間のことでなく)準備をしましょう。