【クレーム対応マニュアル】現役営業部長が解説する営業のピンチをチャンスに変える方法

営業のコツ
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クレーム対応に追われて大変な人はいませんか?

営業をしていれば、クレームを受けることも多いですよね!

この記事はこんな人におすすめ

T営業部長
  • クレームばかりで前向きな仕事が出来ない 
  • クレームを上手く解決したい
  • このピンチ、上手くチャンスにできないかなぁ

クレーム対応自体は、精神も体力も擦り減る大変な業務ですが、上手く対応をしないと会社としての損失につながりますし、上手く対応が出来ればそのピンチをチャンスに変えることも出来ます。

この記事では、クレーム対応の方法を説明していきたいと思います。

クレームってなんだろう?

クレームを直訳すると、苦情だったり改善要求ということになります。

その内容は、契約や法律上も認められた範囲でサービスへの苦情や改善要求をすることを指しますします。

「クレーム」の多くは、過剰な要求を突き付けられたり、難癖つけられたり、双方の立場(上下関係)を踏まえて無理くりな言い分を押し付けてきたり、というイメージですよね。

いずれもクレームと言えるでしょう。

またクレームにも種類がありますよね。

  • こちらに非があってお叱りを受けるパターン
  • こちらに明確な非は無いが、相手の心象悪くてクレームを受けるパターン
  • 単なるクレーマー、過剰な要求

掘り返せば他にも出てくるかも知れませんが、業務中に受けるクレームは、主に上二つではないでしょうか。

クレームをどう位置付ける?

クレームを受けた後の対処をクレーム対応と言ったりしますが、皆さんもしくは皆さんの組織ではこのクレーム対応をどう位置付けているでしょうか。

営業であれば、売ってくることが主なミッションです。クレーム対応をしても数字は上がりません。むしろ会社経営の観点でシビアに見れば、数字のつかない稼働ということで余分な経費に計上されるものかも知れません。

一方で、ピンチはチャンスと言われるように、クレームを受けて奈落の底に突き落とされた後、関係を改善してチャンスをつかみ大きな契約に繋げた、なんて話も良く聞きます。

私の経験としても思い当たるケースがいくつもあります。

あるトラブルが原因でお客様からの信頼を大きく失ってしまい、その後も長らく会社対会社の関係が悪かった、ということがありました。どの社員も行きたがらないそのお客様を、私は営業担当として引き継いだことがありましたが、幸いにして関係改善を図ることが出来ました。

どう改善したのか、そのポイントはこの記事の中で説明していきますね。

そのお客様とは関係改善後から今に至るまで、担当者間も会社のトップ同士も良好な関係が維持できています。

大小問わず、そんな経験をしている営業の人はたくさんいるでしょう。

上手く対応できなければ損失が大きくなりますので、出来るだけコスト(精神的、肉体的にも)を極小化して、出来るだけ相手の不満をゼロに近づけて、さらに出来るならプラスの方に転じさせることがクレーム対応の理想ということになりますよね。

真摯に対応しつつも、経費を使わないということです。

ここからは、私が何を意識してクレーム対応をし、その後、チャンスが転がってて行きたくて仕方がないお客様にいかにして変えていったかを説明していきます。

クレーム対応の特効薬

クレームを即解消するための特効薬を挙げるとすれば、それは相手の要求を全て飲むことです。

が、前述したとおり、相手からは過剰な苦情や改善要求があること、また時には法外な要求がある可能性もありますので、それを実行するためには相当なお金が掛かる覚悟が必要になってきます。

つまり現実的ではありませんよね。営業目線の言えば芸がないとも言えるかも知れません。

お金をかけて解決することが特効薬かも知れませんが、それは最後の最後の奥の手で、出来れば繰り出さずに済ませましょう。そのために必要なのは、奥の手を出す前に、営業の立ち回りで解消してしまうことが大事だと理解すべきです。

クレームの原因

クレームの原因となっているケースとして考えられるものはいくつかありますが、正しく対処するためにまずは分類・整理して理解していきましょう。

懸念・ギャップ

自分にとってネガティブな状況が想定されたり、見込んでいた期待レベルの結果が得られない場合、また進めたいことに対して障害になってしまい排除したいという感情を抱いたケースなど

対立・反対

論理性を超えて、個人的な感情や意見などが前面に出たことによって反対意見が噴出しているケースなど

誤解

正しく伝わっていなかったり、情報が誤っていたことによって本来伝わっているべきことが伝わっていないケースなど

懸念・ギャップのケースは、仕事でも発生原因になっていることが多いですよね。契約や法律のレベルにまで発展しなくても、約束していたことが守られなかったり、期待していたことが実現できなかった場合、相手が不満を感じることが多いです。

反論・反対意見についても同様に多いでしょう。こう考えている、こう感じているといった個人的な感情がぶつかり合うことは、例えお客様と営業の間でもあり得ることですし、例えば営業自身に悪気はなくても、お客様にとって営業の言動が気に入らなければクレーム対象になることもあります。

誤解、これは仕事だけでなく、人と人とのコミュニケーションがある場面では一番大きな問題ですね。昨今の在宅ワークでは、より一層コミュニケーションを密にしていかなければいけないと感じています。

クレーム時の対応の種類

クレーム発生時、私たちにはどういった対応の選択肢があるのでしょうか。そしてどうすることが正しいのでしょうか。大きく分類していきます。

自分を守るパターン

自分を守るかの如く、自分の考えにこだわって意見を曲げないで押し通す。つまりクレームに対して真向から対立するのはこのパターンになります。

相手に屈するパターン

前述のお金が掛かってしまうパターンですね。相手が間違っていても全てを受け入れてしまうこと。またこちらが正しくてもコミュニケーションすることなく簡単に相手の意見を認めてしまうこともこれに当たりますね。

無視するパターン

クレームに対して真剣に向き合わなかったり、軽く受け流したりするパターンですね。音沙汰無いくらいに無視してしまうと、それはもっと大問題になってしまうやつです。レピュテーションリスクの方が大きいです。

しっかり話すパターン

クレームに対して誠実に向き合い、丁寧に聞いて相互に対話して理解して解決を目指すパターンです。

ケースバイケースなので、どれがダメ!ということはありませんが、4つ目のしっかりと対話するということが一番大事であることは皆さんのご理解のとおりです。

クレーム解決サイクル

ここからクレーム対応の鉄則を説明していきます。

クレームの原因で挙げた事象を解消するためには、下記のフレームワークを回して解消していきましょう。

回りくどいし遠回しだなぁ、と感じるかも知れませんが、前述のとおり特効薬はありません。

クレーム対応こそ急がば回れです。

変にやるべきことを端折って迷走しないためにも、この手順を念入りに誠意をもって進めていくことをおススメします。

  1. クレームの理由を注意深く丁寧にヒアリングして明らかにする
  2. 感情面や意見、考え方を自分の言葉で置き換えて、相手に同意・共感する
  3. いきさつや事情を誠実に丁寧に説明して、理解を得られているか確認する
  4. 相手の意見や感情をヒアリングし、更にその理由を深く聞く
  5. 同じベクトル(方向性)で、ともに解決策を検討する
  6. 丁寧に相手の様子を観察し、感情の変化を確認する

やり方としては1~6を順に入念に回していきます。

6で解決しなければまた1に戻り、改めて順に進めていきます。6まで到達する前に解消した場合はそこで終了しても構いません。

 

繰り返しますが、クレーム対応は残念ながら簡単には終わりません!

真の原因を突き止めて理解するためには、その事象に寄り添って、念入りにヒアリングすることに努め、心を閉ざしがちな相手も巻き込んで、双方の事情や状況の理解を深めながら一緒になって解決に向けて進んでいく。

遠回りのようで、これが一番の最短距離だと考えます。

効果を最大化させるためにも1~6を意識して、順に対応していきましょう。

そのうえで大事なポイントを次に説明していきます。

クレーム対応で大事なポイント

即時に対応する

悪い知らせほど放置してはいけません。

怒っているお客様のところへ出向くのは気が引ける、というのはどの営業も同じです。

ただ、会いに行ったところで殺されることはありませんので、「すぐに電話する」「すぐに訪問する」「すぐに対処する」ということを怠らずやりましょう。

やるかやらないかで迷ったときは、やる方を選ぶことで後悔はしません。

まずは聞く姿勢で

相手が必ずしも正しくない場合もありますが、冷静さを取り戻すまでは口を挟まずに聞くことに徹することが大事です。そして聞くことの大事な目的は、根本的な解決をするために相手のクレーム・不満の本質を導き出すということです。

また、クレーム対応に限らず聞く側に大事なこととしては、相手の目を真剣なまなざしで見て、誠実に頷くことが大事です。

いつもの1.5倍くらい気持ちを表情に出しても良いでしょう。事前に練習しておきましょうね。

相手が話しやすい質問

まず聞く姿勢でいることの目的としては、相手の不満を全て吐き出させることと書きました。

そのために有効な聞き方はオープンクエッションです。

Yes,Noや右・左で回答させるのではなく、相手の言葉で話してもらうために自由度の高いオープンクエッションを上手く使いましょう。

<参考>

オープンクエッション

Yes/Noで答えられない質問

  • これは何ですか?
  • あなたの趣味は何ですか?
  • どんな仕事をしていますか?
  • 困っていることは何ですか?

クローズドクエッション

Yes/Noで答えられる質問

  • これはペンですか?
  • あなたの趣味は映画鑑賞ですか?
  • あなたは教師ですか?
  • 売れなくて困ってますか?

オープンクエッションの方が、より多くの情報が得られますよね!

組織で対応する

相手と直接対面したり、窓口として対応するのは自分1人かも知れませんが、状況は常に上司と共有しましょう。

クレーム対応の進捗状況によっては、上司(役職)の名が効力を発揮する場合がありますから、上司に出張ってもらい火を消してもらうことも選択肢の一つとしておくのが良いでしょう。

また後述しますが、あまりにも法外で理不尽な要求を受けたときは拒絶する選択肢も出てきます。その場合を想定して、会社として、組織としての許容レベルを共有して対応する必要もあります。

経過を観察する

クレーム対応は一過性のものかも知れませんが、ピンチをチャンスを変えるためには、継続的に対応していく必要があります。

会社としてはクローズ扱いになって処理が終わったとしても、営業担当としては経過を観察して、相手の感情や印象の変化に対して念入りに気を配って対応していきましょう。

ピンチを凌いで、チャンスを得るための決め手は無いので地道にやっていきましょう。

お客様からは、ピンチの解消の仕方やその後の対応を見て、営業や会社のポテンシャル(本来の力・底力)を評価していると考えるのが良いと思います。そこで「やれば出来るじゃん」と良い評価が得られれば、チャンスにつながるわけです。

場合によっては毅然とした態度で対応する

大抵は、真摯に対応すべき事案だとしても、稀には不合理なクレームもありますよね。

法的な側面から健全な企業サービスが守られ、クレーマーも少なくなっている傾向にありますが、いざその場面に出くわしたときに備えて、しっかりと対応シナリオを準備しておきましょう。

相手の主張が明らかにおかしい時は、毅然とした態度で応対することが大事です。スキを見せればつけ込まれてしまうこともあるでしょうから、繰り返しになりますが普段から想定して備えておくことが大事です。

前述のとおり、影響範囲によっては上司へのエスカレーションをして組織で認識あわせをしたうえで対処することも大事です。

お客様は神様ですが、ある一線を越えた時点で許容されないというのは世間の常識になっていますから、変に臆せずに対応していけばOKです。

まとめ

営業をしていれば、クレームに出くわすことは良くあるでしょう。

でもそれは決して特別なことではなく、通常の営業活動、売るためのプロセスとして織り込んで考えておくのが前向きですよね!

ちなみに私は、死ぬこと以外はかすり傷と思ってクレーム対応をしています。

また別の記事でも書いたとおり、私は、いくらお客様から文句を言われようが売ることだけにプライドを置いているといったメンタリティなので、今不満を持ったお客様にも「見てろよー、いつかあなたを振り向かせて言われた分だけ売ってやるぜー」と思ってクレーム対応をしています。

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レジリエンスという言葉も少し前から流行っていますが、こういったクレームの状況を逆境とするのであれば、逆境からの反発力も営業に求められる部分です。

クレーム対応は大変ですが、しっかりとした対応をすればちゃんと返ってきますので、お互い頑張りましょう!