新人営業や異動したての若手からよく聞かれるんですよ。「法人営業って個人営業と何が違うんですか」って。俺も最初は同じことを先輩に聞いて、「決裁者が複数いるから大変だぞ」としか言われずピンとこなかった記憶があります。
今回は、俺が20年近く法人営業の現場でやってきた中で「これは押さえておけ」と部下に言い続けていることを、基礎から効率化の話まで一通りまとめてみようと思います。教科書的な話は他のサイトでも読めるんで、ここではなるべく現場でのリアルな肌感を交えて書いていきます。

この記事はこんな人におすすめ
- 法人営業に配属されたばかりで、個人営業との違いがピンときていない人
- アポ獲得や商談の進め方に伸び悩んでいる営業パーソン
- 部下やチームに法人営業の基礎を教える立場になった管理職
- SFAやインサイドセールス導入を検討している営業企画担当
法人営業と個人営業、何がそんなに違うのか
まず大前提として、法人営業は「相手が組織」だということを忘れちゃいけません。個人営業ならその場で財布の紐を握っている本人を口説けば決まりますが、法人の場合は担当者が気に入ってくれても、その上に課長がいて部長がいて、場合によっては稟議書が役員会まで回る。俺も昔、担当者レベルでは完全に握れたと思っていた案件が、最後の最後で「予算の都合で来期に」とひっくり返された苦い経験があります。
取引規模も桁が違うことが多いので、一回の失注のダメージが大きい。だからこそ、誰が決裁権を持っていて、どういう順番で社内を通すのかを早い段階で担当者に聞いておく。これだけで後々の苦労がかなり減ります。個人営業の感覚で「いい人だから決まるだろう」とタカをくくるのが、法人営業で一番やってはいけないことだと俺は思っています。
アプローチ手法は使い分けが命
法人営業の入口は、飛び込み・電話・メール・セミナー集客、大体この4つに分かれます。それぞれに向き不向きがあって、どれが一番かという議論自体があまり意味がないと俺は思っています。
飛び込みは今どき効率が悪いと言われがちですが、エリア密着型の商材や、担当者と顔を合わせることに意味がある業界ではまだまだ有効です。電話は数をこなせる反面、断られ慣れしていないと精神的にきつい。メールは手軽だけど埋もれやすいので、件名と最初の2行で興味を引けるかが勝負。セミナーは見込み客を集めてから育てていくスタイルなので、即決にはつながりにくいけど、信頼構築という意味では強い武器になります。
俺の経験上、どれか一つに頼り切るチームは伸び悩みます。商材やターゲット業界によって、電話中心の時期とメール中心の時期を使い分けるくらいの柔軟さがあったほうがいい。
- 飛び込み:関係構築重視、地域密着型商材に強い
- 電話:数をこなせるが断られ耐性が必要
- メール:効率的だが開封されなければ始まらない
- セミナー:中長期で信頼を積み上げるアプローチ
営業プロセスは「リスト作成」で8割決まる
ターゲットリストの作成からアプローチ、商談、クロージング、そしてアフターフォローまで。この一連の流れを俺はよく「川の流れ」に例えるんですが、上流のリスト作成が雑だと、下流でどんなに頑張っても結果は出ません。
若手によくあるのが、とにかく件数をこなそうとして手当たり次第にリストを作ってしまうパターン。自社の商材が刺さる業界・規模・課題感をある程度絞り込んでからリストを作ったほうが、結果的にアポ獲得率も商談化率も上がります。急がば回れ、です。
そしてアフターフォローを軽視しがちなのも法人営業あるあるです。受注した瞬間に次の案件探しに走ってしまう人が多いんですが、既存顧客からの紹介や追加発注のほうが新規開拓より圧倒的にコストが低い。俺は部下に「契約書にハンコもらった日がスタートラインだぞ」とよく言っています。
訪問・商談は第一印象と準備がすべて
アポが取れたら次は訪問・商談です。身だしなみの話なんて今さらと思うかもしれませんが、第一印象は出会ってからわずか数秒で決まるという調査結果もあるくらいで、言葉を発する前に相手は無意識にあなたを値踏みしています。俺自身、靴が汚れている営業マンの話を最後まで真剣に聞く気になれなかった経験があるので、これは偉そうに言える立場でもありつつ、身にしみて分かります。
商談の流れとしては、名刺交換、アイスブレイク、ヒアリング、提案、クロージングという順番が基本ですが、ヒアリングの比重を軽く見る人が本当に多い。自社商品の説明を早くしたい気持ちは分かりますが、相手の課題を掴まないまま提案しても刺さりません。俺は昔から「商談の前半7割は聞く、後半3割で話す」くらいのバランスを意識しろと教えています。
やるべきこと
- 訪問前日に身だしなみと持ち物を最終チェックする
- ヒアリングで相手の課題を具体的な言葉で言語化させる
- 商談後24時間以内にお礼メールと議事メモを送る
- 決裁プロセスと関係者を早めに確認する
避けるべきこと
- 自社商品の説明を一方的に話し続ける
- 第一印象を軽視して身だしなみを疎かにする
- 相手の「検討します」を鵜呑みにして放置する
- 決裁者を確認せず担当者の反応だけで安心する
効率化なくして法人営業は回らない時代
ここ数年で変わったなと思うのが、営業の仕事を全部自分で抱え込む時代じゃなくなったことです。インサイドセールスに電話アプローチを任せたり、営業代行を使ってリスト開拓のフェーズを外出ししたり。自分の得意な商談・クロージングに時間を割けるように設計し直すのが今の法人営業の流儀だと思っています。
ツール面でもSFA・CRM・MAの役割を理解しておくと武器になります。SFAは商談の進捗管理、CRMは顧客情報の蓄積と関係性管理、MAは見込み客の育成と絞り込み。この3つは似ているようで役割が全然違うので、ごちゃ混ぜに使うとかえって現場が混乱します。俺のチームでも導入当初は入力項目が多すぎて現場から文句が出ましたが、本当に必要な項目だけに絞ってからは定着率が一気に上がりました。ツールは導入して終わりじゃなく、現場が使い続けられる形に育てていくものだと実感しています。
まとめ
法人営業は「組織対組織」の仕事だからこそ、決裁プロセスの見極めや上流のリスト作成、第一印象から始まる信頼関係づくりまで、一つ一つの積み重ねがモノを言います。飛び道具のようなテクニックより、基本を丁寧に積み上げるほうが結局は近道だというのが、20年近く現場に立ってきた俺の実感です。
Q&A的にまとめると、「どのアプローチ手法が一番良いか」→商材とターゲットで使い分けるのが正解。「商談で一番大事なことは」→話すことより聞くこと。「効率化は何から始めるべきか」→まずはCRMで顧客情報を一元化するところから。悩んだらまずここに立ち返ってみてください。


