【契約を決定づける最適な手法】テストクローズのやり方を説明します

テストクローズ 営業のコツ
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商談過程においてテストクローズの重要性を再確認していきます。

この記事はこんな人におすすめ

T営業部長
T営業部長
  • 値引きに走らず契約を取りたい人
  • 先手先手で商談を進めたい人
  • 商談スピードを上げたい人

この記事では、テストクローズの目的や参考事例を挙げて、実際の商談現場で使えるものになるよう解説していきます。

テストクローズとは何でしょうか?

クロージング(クローズ)というのは、契約を取り付ける最後の最後交渉場面ですよね。わかりやすく言えば、ハンコを押してもらうための最後のひと押しの場面のことを指します。

一方でテストクローズは、テストとあるようにクロージングの制度を高めたり、より良い契約にするための前処理と理解すれば良いでしょう。

私が新人のときに、上司や先輩からはテストクローズをしろ、テストクローズが重要なんだ、と怒られた日々を思い出します。

ではテストクローズって何?をもう少し説明すると、例えばこういうことです。

ご予算はおいくらくらいでしょうか?

いくらならご契約頂けそうですか?

100万円くらいでの見積提示になりそうですが、稟議は通りそうでしょうか?

通常は有料のオプションですが、今回無料で付けられたらお客様にメリットありますか?

こんな感じで、例えば正式に見積を出す前の前処理としてお客様の反応を探るのがテストクローズと考えれば良いと思います。

テストクローズのメリット

テストクローズは、メリットやデメリットを論ずるまでもなく、商談の中では必須の行為だと思いますが、当然初めて聞く方も居ると思いますので、商談でテストクローズをする意味も含めて再確認しましょう。

必要以上に見積金額を値下げせずにすむ

営業が高い見積を出せば、必ずと言ってよいほどお客様から値引きの要請があると思います。
この時代なので、おもむろに値引きしろと言われないまでも工夫を求められることはあると思います。

値引き要請を受けそうな場合でも、テストクローズで先手を打つことで防御の効果を発揮し、必要以上に値下げをしないで済むようになります。

契約を早められる

先手を打ってテストクローズすることは、見積金額を下げずにしのぐことができるのと同時に、お客様の契約タイミングを早めることにも使えます。

テストクローズによって、お客様の購買意欲であったり、購買プロセスを確認することで、一気に決めてもらうような条件提示につなげることができます。

計画的に受注出来る

上記の①、②のようにテストクローズを重ねることで、お客様の本気度の確認の精度が高まってきます。冷やかしなのか本気で検討しているのかの見極めということですね。

基本的に営業は、冷やかしに近い対応には振り回されたくないですし、できるだけ実績につながりやすい活動に時間を割きたいはずです。
誰でも契約が取れそうな見込みだけ追いかけたいですよね。

テストクローズは、こういった状況において効率化に大きく寄与しますし、結果的に、計画していた案件が計画通りに契約できるという好循環を生み出すことにつながります。

具体的なテストクローズのシーンをご紹介

それではここからは具体的なテストクローズのシーンをご紹介をして、実践に生かせる使い方についても説明していきたいと思います。

例① 見積提示前のテストクローズシーン

お客様 御社のご提案のコンセプトは理解できました。弊社の大まかな要望もお伝え出来たと思いますので、お見積のご準備をお願いできますか。

営業 はい、早速見積提示に向けて社内での協議を開始したいと思います。ただ、箸にも棒にも掛からないような見積を出してはいけないので、あらかじめ予算のイメージ合わせをさせていただきたいと思いますがいかがでしょうか。似たような条件ですと、他のお客様にはだいたい500万円くらいでお見積を提示させていただく内容となっていますが、お客様の予算イメージと比べていかがでしょうか?

お客様 イメージよりは少し高いですね。

営業 承知しました。条件面の工夫もしながらお客様の予算感に合うよう社内で調整して参ります。(500万円は少し高めの金額だから少しだけ下げれば大丈夫そうだな)

<説明>
このシーンでは、むやみやたらに価格提示することを避けるために、あえて目安となる500万円という金額をぶつけてみた、というのがテストクローズになりますね。
例えばお客様の予算が400万円なのに、3,000万円で見積提示をすれば、検討の遡上にも乗らずに案件が終了することにもなりかねません。
また他社が安く提示していれば、下を潜られて負けてしまうことも考えられます。
そのためには、あらかじめ金額のイメージの合わせておくことが大事です。営業としては結構勇気のいる質問ですが、これによって案件の見極め制度が変わってきますので、必ずこの場面でテストクローズをしていきましょう。
なお、最初に提示する目安の金額は少し高めが良いと思います。上手くいけば高めの金額で契約ができる可能性もあります。

例② 商談の佳境でのテストクローズシーン

営業 先日提示させていただいた見積ですが、その後のご検討状況はいかがでしょうか。

お客様 社内の各部署に対して説明をしているのでもう少し時間がかかりそうですね。

営業 まだ確定ではないのですが、もしかすると状況によってはメーカーから期間限定の特価がもらえそうなんですが、特価分で値引きすることができたら、検討を前に進めていただく後押しになりますかね?

お客様 それはもちろん、価格は一番大事な判断材料になるので前向きに検討する材料になりますね。

営業 ちなみにですが、今500万円で見積を提示させていただきましたが、メーカーから30万円の特価をもらってそれを値引きにあて、470万円になったらいかがでしょうか。

お客様 それはかなりありがたい値引きだね。

営業 通常は30万円の値引きはあり得ないのですが、今月中にご契約いただけるのであれば、上司も巻き込んでメーカーに対して特価交渉をしますが、30万円の特価を得られたらご契約いただけますか?

お客様 そこまで実現出来たら責任をもって進めます。

<説明>
このシーンは商談も大詰めで、契約まであと一歩という状況を想像してください。
〇〇という条件を提示したら、契約してくれますか?
もし希望通りになったら契約してもらえますね?
といった形で先手のテストクローズをしています。

実際のところ判断をするのはお客様ですし、何をもって契約をするか、どのタイミングで契約をするか、すべてにおいてお客様の意思がすべてです。
そんな時に、条件提示をして契約を迫ることで、決定の先延ばしを防いだり、他社の入り込む余地をなくしたり、必要以上の値引きを防ぐ方法としてテストクローズを使っています。

ちなみに、あらかじめ「契約してもらえますね?」とテストクローズをせずに、追加値引きだけを提示した場合を想定してください。
お客様としては何の約束もしていないのに、営業が良い追加条件を持ってきてくれてラッキーとなってしまいます。
営業が後から「値引きしたから契約をしてくださいね」と言ったとしても、それは営業からの一方通行のお願いになってしまい、形勢は不利な状況になってしまいます。
まずは、奥の手を出す前に、先手を打って仮の交換条件で約束を取り付けてしまうことが大事です。

例③ 他社競合時のテストクローズシーン

営業 先日お出しした見積の件ですが、その後のご検討状況はいかがでしょうか。

お客様 実は他社さんも検討してて、社内で比較検討してるんだよね。

営業 他社さんと当社の提案では、どちらが優位なんでしょうか?

お客様 どちらも良い提案で、捨てがたいという状況なんだ。

営業 他社さんの提案にあって、当社にないものはどのあたりでしょうか?

お客様 他社さんの提案には〇〇〇機能というのがあるんだけど、御社で同じ機能を選ぶとするとオプションで別料金になっちゃうから、予算オーバーなんだよね。

営業 そのオプション機能込みで今ご提示している価格であれば当社の方が優位になりますか?

お客様 そうなるね。

営業 まだ上司に相談していないので思い付きで恐縮ですが、おそらく弊社の中では役員の承認が必要になるのですが、もし同額でオプション機能込みで社内の承認を得てきたら当社に決めていただけますか?

お客様 もしそうなったら当社としても御社を選ばない手はないね。

<説明>
このシーンでは、他社競合に打ち勝つためのテストクローズです。
法則にはお気づきかと思いますが、値引き要請を見越した対応と同じように、先手を打ってあらかじめテストクローズを仕掛けているということが共通したやり方です。
「この値段だったら決めてくれるのか?」
「この条件が出たら当社を選んでくれるのか?」
こういった事前の約束を、条件提示する前に取り付けるということが大事なポイントです。

まとめ

ここまでテストクローズの効果や重要性を説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。

具体例では、交渉がうまくいく例を取り上げましたが、一度のテストクローズで最適な落としどころが見つかるとも限りません。また、お客様がみんな素直に教えてくれるとも限りません。

そういった状況の中でも、営業は契約をもぎ取ることや、利益を最大化することを考えないといけませんので、テストクローズをいろんな角度から何度も仕掛けて、最適な落としどころを見出すことが大事です。

一方通行になってしまうと、営業の独りよがりの金額提示や条件提示をしてしまい、結果的に後手に回って大幅な値引きをせざるを得ない状況になったり、競合他社の提案と比較して劣後してしまったりしまいます。

冒頭にも書いたとおり、テストクローズ自体は特別なことではありませんが、交渉をより優位に進めるためにも、先手を打つテストクローズを意識して、商談を進めましょう。

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