
この記事はこんな人におすすめ
- 障害者雇用が増える流れの中で、現場の管理職として何を見ておけばよいか知りたい方
- 「採用したあと」の定着や離職の話が気になる方
- 数字の読み方に注意したい方
寅部長です。法定雇用率が上がると、採用の数は増えます。ただ、現場の管理職にとって本当に大事なのは、採用のあと、その人が仕事を続けられる職場になっているかどうかです。この記事では、厚生労働省の数字を確認し、数字から言えること・言えないことを分けたうえで、上司の役割について私の考えを書きます。
数字から見えること
厚生労働省がまとめた令和6年度のハローワークの障害者の職業紹介状況は、次のとおりです。(出典:厚生労働省)
- 新規求職申込件数:268,107件(前年度比7.5%増)
- 就職件数:115,609件(前年度比4.4%増)
- 就職率:43.1%(前年度より1.3ポイント減)
- ハローワークに届け出のあった解雇者数:9,312人(前年度2,407人)。過去最高だった平成13年度の4,017人を上回った
求職も就職も増えている一方で、解雇者数が大きく増えたことが目を引きます。ただし、厚労省の資料には、解雇の理由や背景は書かれていません。採用が増えた影響なのか、ほかの要因なのかは、この数字だけでは分かりません。私も、ここから原因を断定することはしません。言えるのは、「採用が増えるほど、採用後の職場づくりが大事になる局面に入っている」ということくらいです。
数字を読むときの注意
上の解雇者数は、ハローワークに届け出のあった人数です。すべての解雇や退職を数えたものではありません。また、前年度との比較は1年だけの変化で、数年の傾向までは分かりません。数字は大事な手がかりですが、「だからこうだ」と言い切れる材料にはなりません。管理職は、数字を自分の職場の話に直接当てはめず、「自分の職場では何ができるか」に引き寄せて考えるのがよいと思います。
法定雇用率と「定着」は別の話
法定雇用率は、障害者を何人雇っているか、という数字です。雇用率が上がったことで、採用の数は増えるでしょう。でも、雇用率は、その人が仕事を続けているか、力を発揮できているかまでは測りません。2026年7月の引き上げ(2.5%→2.7%)で、対象になる事業主の範囲も広がりました(愛媛労働局)。新しく雇用に取り組む会社が増えるほど、現場の管理職が試される場面も増えます。
私の考え:定着で上司がやること
定着は、本人の努力だけで決まるものではありません。上司の役割は、私は次の3つだと考えています。
- 最初に決める:仕事の範囲、目標、中間確認の頻度を、本人と話し合って決める(具体的な任せ方は前の記事を参照)
- 続けて聞く:「困っていることはないか」を、定期的に、本人が答えやすい形で聞く。体調や環境の変化は、あとから出てくることもある
- 周囲を守る:周囲の依頼の出し方や、情報の扱い方(本人の同意なく話さない)を決めておく
社内に相談窓口があるなら、その場所と使い方を、本人にも周囲にも伝えておくことです。社外には、ハローワークや、事業主向けの障害者雇用の相談援助事業もあります(愛媛労働局の案内に記載)。管理職が一人で抱え込まない仕組みも、定着には欠かせません。
私の経験から
管理職として障害のある部下と一緒に働いたことが、私にもあります。基準になると考えるのは、採用のときに「能力とポテンシャルで判断する」と決めておくことと、周囲に「無理な依頼をしない」と明確に伝えておくことです。それで全部うまくいく、とは言えません。ただ、迷ったときに戻る基準があることは、管理職にとって心強いものです。
やるべきこと
- 数字は出典と確認日を見て、言えることだけ言う
- 採用後の面談や確認の頻度を、あらかじめ決めておく
- 相談先(社内外)を、本人と周囲に伝えておく
避けるべきこと
- 解雇者数などの数字から、理由を決めつける
- 「配慮すれば必ず定着する」と考える
- 本人の気持ちを、確認せずに代弁する
出典(すべて確認日 2026-10-09)
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